2019年11月28日木曜日

日韓のGSOMIA破棄の凍結という時点での考察


 韓国は今年8月22日に日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA )を延長せず破棄することを明らかにした。ところが、11月22日24時に消滅となる直前に、破棄すると言い出した当の韓国政府が当面破棄しないことに態度を変えた。僕は、GSOMIA について2つ前の当ブログで書いた。そこでは、「米国が継続せよという強力なテコ入れを韓国に行っているという報道が目立っているが、破棄ということで終わるだろう」と予測した。しかし、これは外れてしまった。
 GSOMIA はオバマ政権の時の米国政府の方針により、3年前に日韓における軍事情報に関する協定が締結させられた。日米・米韓に軍事条約があるが、日韓には軍事に関する条約のようなものはない。対北・対中・対露に対する米国の朝鮮半島における安全保障体制を強化する目的ということである。特に、北朝鮮のミサイル等発射の瞬時の把握をすることも重要なのだろう。人権外交・弱腰外交的なオバマ政権の時のことということが面白く思われる。やはり、北朝鮮のミサイル・核の脅威が有意になってきたと判断したというのが公式的な話なのだろう。
 当事国の韓国は終始の反日国家であるので(戦後ずっと教科書で日本が悪魔の国だと刷り込まれたら、国民の大多数が反日精神を持つのは自然の理であろう)これは歓迎されるものではなかった。当時の韓国大統領の朴槿恵がこれを受け入れたことが、その後の朴政権打倒のクーデターのような状況を招いた原因の一つとも言われているほどだ。日本の場合は「米国が言うから仕方なくそうした」に過ぎない。偵察衛星を10個ほど維持している日本が衛星の一つも有していない韓国からはそれほど有用な情報が期待できないからだ。しかも、特に文在寅政権になると日本の情報が北朝鮮に漏れるのではないかという危惧があるのであるから、もともと重要な軍事情報がどれだけお互いに交換し合っているかも不明だと思われる。僕には、GSOMIAは米国の体制上の体裁を繕うためのものだと思っていた。
 この3カ月ほどの間に目に触れた情報(主に、ユーチューブ)や報道(テレビ・ニュースはもうほとんど見ていないし、二つの新聞を購読しておりタイトルで興味あるものだけを斜め読みする程度だ)から、今の自分の考えを述べておく。
 現時点で、韓国が「破棄する」との意思を示し、日本も「それで基本的には差し支えない~止むを得ない」ということだったが、やはり米国の維持への意思が本気であったということだった。僕は、それでも対中北露の軍事体制を形式にでも維持しておくことが重要だと判断したのだろうと思った。その後、「米国の最大の関心は、韓国に駐留している米将兵の生命である。北朝鮮が韓国に攻め込んできたことを想定すると多数の米将兵が死ぬことになる。このリスクを最小限に抑えるには、日本の衛星先進情報技術が有用である」という解説を読んだ時に、「これがポイントだったのだ」と腑に落ちた。文政権になってから、38度線の韓国側の地雷を撤去したことに米軍は今後のことを真剣に考え出しているだろう。
 さて、GSOMIA延長の決定を聞いた韓国人の反応は興味深い。いつもと違って、「GSOMIA はそもそも日韓の問題でなく、米国の意思で始まったことだから、米国に反旗を明確にするという文大統領は素人政治家だ。とんでもない制裁をされると国が潰れてしまうではないか」「今回の件では、日本にはあまり非難されることはないのではないか」というまともな意見もかなり多いようだった。こういう意見の人たちも、「一般的反日発言」は忘れずに付け加えていることがしばしばだった。一方、文在寅への中核的な支持者の多くはGSOMIA延長からの方針転換を知って、「腰砕け」だと怒っているらしい。
 つまり、文在寅への不満が広がるとともに反日論調はいずれにしろ堅調であるようだ。「一般的反日発言」を入れておかないと大衆に受け入れてもらえないというコンセンサスがある特殊な国なのだと思われる。この「反日姿勢」は革新層でも保守層でも大なり小なり同様であるということを日本人はしっかりとわきまえておかなくてはならない。文在寅が失脚しても「お花畑」は実現しないのだ。かの国の歴史教科書が問題のルーツなのだ。
 戦後ずっと反日姿勢を続けてきた韓国をホワイト国に指定したことなど、そもそも日本は自民党自体が正常な精神を持っていないではないかという気がする。アジアでは韓国だけにそう言うと扱いをしていたのだ。しかし、資料によると、ある四つのレジーム(同盟)に参加している国というのに合格していたので、国際的には妥当な対応であったらしい。しかも、反日国家の韓国も日本をホワイト国に指定していたのだ。ただ、実質的には日本に経済的なメリットはほとんどなく非対称な利益関係だと思われる。スワップと同じだ。スワップなど日本にメリットはほとんどなく片務的なものである。いずれにしても、韓国の経済は、日韓併合以来、日本への寄生的な存在で発展してきたのである。
 ただ、僕に言わせれば、歴史教育で明確な反日国家だと宣言しているような国であることをもってホワイト国指定はもともと除外可能であったはずだ。こういう判断が、国家の場合でも「健全な心理的機序」と「健全な自律神経機能」を維持する基盤なのだと思われる。今後は、もう「良い子ぶる芝居」を日本政府は止めて欲しい。国際社会では、国際的に「普通の子」がよいのだ。それは、真の紛争を抑止するための賢明な態度なのである。

 日韓併合以来の朝鮮半島に対する日本の国家経営は、国際標準から見れば際立って人道的で博愛的なものであったし、朝鮮人慰安婦に対する扱いも日本人慰安婦に対するそれとかわらないものであったし、朝鮮人の応募工ついても同様の状況であったことは、残っている資料を普通に読んだり見たりすれば判るものだ。朝日新聞のような確信犯的な連中は別にして、日本の多くの似非知識人は、目の前に証拠を見せられても、意識的か無意識的な機序からかは判らないが、自分のイデオロギーに合わないことは頭の中に入ることを排除してしまうのである。僕は、以前、このブログで「裸の王様現象」として、このことを触れている。
 戦後の日本政府は多くの普通という意味で真っ当な戦前・戦中の日本人の先達に対する韓国からの不当な侮辱を甘んじて受け続けている。僕はこの政府の姿勢が一番腹立たしい。
 国を挙げて日本の先祖のことを不当に非難・侮辱する連中は、一番は「朝鮮半島の民族」で次は「中国共産党政権に影響を受けている人々」に限られていることを日本人はアラートでないといけない。この二国以外はそうでもないということは事実なのだから、ある程度のインテリジェンシーがあれば、この限られた二国の方が「普通ではない」という蓋然性があると思うべきなのだ。
戦前に日本が統治していた南洋諸島の人々の多くが日本の統治時代を非常にポジティブに受け取っている多くの資料があるのに、左翼イデオロギーに洗脳された連中はそういう資料を見たくないらしい。台湾の人々も朝鮮半島の人々と比べると、事実をそのまま受け入れている人々が多い。ここでは多くは触れないが、大日本帝国陸軍がインドシナ半島を侵攻した際の当地の人々は日本の侵攻によって甚大な迷惑や影響を受けたのであるが、朝鮮半島の人々とは違って、一方的に日本の軍隊を非難・侮辱するようなことはしていない。それは、侵攻地の当地の人々に対する日本軍の扱いが、既に当地を占領していた欧州列強の支配者と比較すれば非常に博愛的で人道的であったからだ。この扱いとそれに応えた現地の人々の日本の敗残兵に対する手厚い扱いについての資料も僕は読んだが、心揺さぶられる思いがした。
そして、侵攻のプロセスの後で生まれた結果というのが、西欧列強からの独立だったことが歴史上の事実だった。最近、このことをもって「大東亜戦争に勝ったのは実は日本である」という著作が西欧人から上梓されているらしい。その趣旨は「西欧列強を破って、その結果東南アジア諸国が独立した」ということだ。これは偶然などではなくて、日本の目指したことだったのだ(ただ、日本国としては、自らの指導権を維持して、そういうことを成し遂げようとしたのだが、この指導権の維持は日本の敗戦で失敗してしまった)。戦後のインドシナ半島やインドネシアなどの人々はこの事実もちゃんと認識しているのである。

朝鮮半島の民族は、残念なことに、①国家としての独立よりも部族内の対立のエネルギーが常に大きいこと、②自分の部族の優位を勝ち取るために隣国の大国にテコ入れしてもらう目的で「属国」扱いを受け入れる(これを事大主義という)という状況が古代から現代にまで続いている、稀有な集団なのである。付け加えると、③古くからの両班制度の仕組みが現代にも影響を及ぼしていて、基本的に「持てるもの」と「持たざるもの」との差が大きく、世代を超えても後者が前者に入り込むのが難しい社会構造になっている。韓国は一見普通の民主国家のようであるが、実際はかなり階級社会的な面が残っているとのことだ。そして、剛直的な儒教文化が上下関係を厳しくしている。
朝鮮半島の宗主国は、古代ではほとんどがシナ大陸の歴代王朝であったが、時には日本に寄ってきた部族もあった。
日清戦争の頃から日韓併合の頃までの間は、シナ・ロシア・日本に対して朝鮮内の分派が事大主義を行っていた。親日の分派が内部抗争で優位になった結果、そしてその派閥が求めてきたので「日韓併合」になっただけである。そして、これは国際的に正式に承認されたという事実を知らない振りをしてはならない。シナの国力はこの頃はもう下降線をたどっていたが、もし親ロシアの分派が優位になっていれば、ロシアが併合していたのである。もしそうなっていたら、朝鮮の人々はシベリアに大量強制移住させられて、半島にはロシア人を大量に入植させたのに違いない。日本にとっては(今から思うと)その方がよほど良かったと思われる。面倒な朝鮮半島に関わりを持たなくて済んだし、第二次世界大戦の敗戦国側に立っていなかった可能性が大きいのだ。ハルピンでテロリストに暗殺された伊藤博文は朝鮮半島に手を出すことに反対であったことを、現代の日韓の普通の人々は知っておく必要がある。暗殺者はそういう伊藤を狙ったということで、「愛国者」でも何でもなく、単なるチンピラのテロリストだったというのが真実らしい。犯人は本当には誰だか同定されていないらしい。朝鮮の歴史は史実には基づかないことが多過ぎる。
そして第二次世界大戦後は、ロシア(ソ連)・米国への事大主義が試みられている。当時のシナはまだ国共内戦の後始末で余裕はなかった。戦後、東南アジア諸国は独立国になっていったが、朝鮮半島は実は「独立国」になっていない。

僕が思うには、東南アジアの人々に対する西欧列強の非人道的経営が過酷であったので、敗戦した日本が引き上げた後の空白状態という絶好の機会において、民族挙げての独立運動が成立したのだろう。一部の敗残日本兵は自らの意思で当地に居残り、プロフェッショナルな兵士として当地の独立運動の指導にに身を捧げている。大東亜共栄圏の根底思想には、東南アジアの「民族独立」を目指す精神があったという証拠であと思われる。そして、独立に成功したインドネシアの暦は当初は日本の「紀元節」を採用したのである。これは新政府が日本をある種信頼していたことを物語っている。このことを現在の日本人のほとんどが知らないと思われる。ここに、戦後の日本の教科書の「反日」的な証拠があるのである。
一方の朝鮮半島においては、この民族の特質自体もさることながら、日本の半島経営が西欧列強と比較して非常に人道的であったので、自力独立という必死さが欠如しており、終戦前後からまたぞろ「部族同士のせめぎあい」という「能天気な」精神状態で、日本に代わる事大主義の相手を求めただけだったのだろう。
事実として、主にソ連と米国に事大主義の相手を求めたので、北と南の朝鮮に分かれたままになって今に続いている。特に、北朝鮮の立場からすれば韓国は米国の傀儡属国なのであって、「正当性は我にあり」ということになっている。この怪しいところもかなりある主張をすべて否定しきれないところが韓国政権の辛いところであり、文在寅の拠って立つところでもあるのだろう。

今年におけるこのブログでは、韓国のことについて多くを書いてしまったが、それはかの国の有形無形の反日言動がうるさすぎるから自然にそうなってきた。韓国など所詮は大国でないから将来も大して脅威ではないはずだ。脅威からすれば、今の中共はずば抜けた存在だ。現在進行中の真の脅威は著しい非人道的国家の中共なのだ。ただ、中共は表向きのプロパガンダだけはしばしば節操を保つ点を心得ており、韓国のような稚拙な攻撃~口撃はうんと少な目なのだ。
しかし、他の人の悪口のようなことは自身の精神衛生上もよくないし、素敵でもない。次のブログ記事を最後に連載的な「韓国編」を終わりにしようと思う。
ただ、僕の特に主張したいことは、間違ったイデオロギーを持った日本人側にこそ大きい問題があることなのだ。朝鮮半島の人々自体は、その特性が自分から見ていくらおかしいと思っても、それを積極的に非難することは差し出がましいことだと僕も思う。そういう気質が昔からの日本人のものだと思う。
しかし、彼らが、小中高の教科書で日本のことを不当な扱いをしていることは、極めて遺憾であり、これは見逃せないことだと思うべきだ。左翼的な我が国の言論エスタブリッシュメントに迎合して、我が国の教科書が偏向し続けていることはもっと許せないし、愚かすぎると思う。

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